今日、経営者が絶対に行わなければならない「3つの仕事」とは?

もし、あなたが何かのビジネスで責任を担って仕事をしているのなら毎日、あなたの目の前にはたくさんの課題が積み上げられ、どれから手をつけたらいいのか分からない状況になっていませんか?

「毎日、火消しに追われているようだ」

これは、何らかの責任を持って仕事をしている人なら常に抱えている気持ちです。

「一体、今日、なんの仕事に取り組めば、もっと楽になるのだろうか・・・」

このようなマネージャー、経営者、そして個人事業主の悩みについて、マネジメントの父として有名であり、世界最初の事業戦略本を書いたP.Fドラッカーはこのように言っています。

今日行うべき3つの仕事とは?

企業にとって、今日行うべき仕事は三つある。

  • 今日の事業の成果をあげる。
  • 潜在的な機会を発見する。
  • 明日のために新しい事業を開拓する。

これら三つの仕事にはそれぞれ異なるアプローチが必要である。異なる問題提起が必要である。したがって結論もまったく異なったものとなる。しかしこれら三つは、切り離すことはできない。しかも同時に行わなければならない。いずれも今日行わなければならない。そして、同じ組織によって、同じ資源、すなわち人、知識、資金を用いて、企業家的なプロセスによって行わなければならない。

創造する経営者(ピーター・F・ドラッカー (著),‎ 上田 惇生 (著),発行所:ダイヤモンド社 より引用)

つまり、あなたがどんなに大きな組織のマネージャーでも個人事業主でも、事業の未来を作る立場で仕事をしているのなら今日、目の前の課題解決だけに時間を使うことは、必ずしも明日の事業を作ることにはつながらないのです。

多くのマネージャー、経営者、そして個人事業主は目の前の目標達成、目の前の売り上げ確保に必死すぎて先のことまで頭も回らず、行動も追いつかない状態で仕事をしていると思います。

私はあなたが毎日、ギリギリな状態で必死になって仕事をしていることも理解しています。

でも、現実的に事業を維持・成長させていくためには、目の前の課題解決ばかりに集中するだけでは、全くの不十分なのです。

P.Fドラッカーはこう続けます。

未来は明日つくるものではない。今日つくるものである。今日の仕事との関係のもとに行う意思決定と行動によって、今日つくるものである。逆に、明日をつくるために行うことが、直接今日に影響を及ぼす。

三つの仕事は重なり合う。したがって一つの統合された戦略が必要である。さもなければ三つの仕事のいずれもが不可能となる。

創造する経営者(ピーター・F・ドラッカー (著),‎ 上田 惇生 (著),発行所:ダイヤモンド社 より引用)

多くのマネージャー、経営者、個人事業主は明確な戦略を持っていませんし、そんな戦略の必要性する感じていません。

しかし、戦略を持たないということは、目的地も決めずに、その目的地にたどり着くための地図も持たずに航海に出るようなものです。

あなたの事業の乗組員があなた1人だったらいいかもしれませんが、あなたの家族や従業員がいるのであれば、事業の責任を担っているあなた自身が戦略を持たないことは、あなたの事業に協力してついてきてくれている人たちを路頭に迷わすリスクをはらんでいるのです。

では、どうすれば、自分の事業にとってピッタリの戦略を持つことができるのでしょうか?

P.Fドラッカーはこう続けています。

これら三つの仕事に同時に取り組むためにはもちろん、そのうちの一つに取り組むためにさえ、経済的な存在としての企業の現実、経済的な成果をあげる能力、利用しうる資源と可能な成果との関係について、理解しておかなければならない。

さもなければ、目まぐるしくに翻弄されるだけである。しかし、そのような理解は、既成の概念によって与えられはしない。企業ごとに手に入れなければならない。

創造する経営者(ピーター・F・ドラッカー (著),‎ 上田 惇生 (著),発行所:ダイヤモンド社 より引用)

今、本屋のビジネス書のコーナーに行けば、所狭しと企業戦略に関する本が並んでいます。

また、戦略について教えてくれるようなセミナーや研修もあります。

でも、厳しいようですが、本やセミナー、研修に出たからといって、あなたのビジネスにぴったりの戦略が手に入るわけではありません。

ヒントにはなるかもしれませんが、本物の事業戦略というものは、自分自身で手に入れるものです。

なぜなら、効果的な事業戦略というものは常に、あなたの持っている知識や資源、そして置かれている状況や環境によって全く異なるからです。

戦国時代、それぞれの国が生き残りのために必死に策を練ったように、自分にとって最適な戦い方は、自分の置かれた立場や環境、使える経営資源によって決まってくるものなのです。

まとめ

もし、あなたが目の前の仕事で忙し過ぎるのなら、自分の事業の戦略なんて考えている暇がないかもしれません。

でも、逆を考えれば、戦略を持っていないからあなたは、目の前の仕事に忙殺されている。忙しく働いている割には全然利益が出ない。というように、負の連鎖に陥ってしまっている可能性が高いんです。

戦略とは、価値を生み出すことであり、その価値を届ける顧客を明確に定義することであり、そして、その上で競合と明確に差別化する取り組みです。

戦略について考えていくことは地道な作業であり、苦しさも伴うものです。

でも、戦略はあなたの事業の今と未来の成果に大きく関わってくる最も重要な仕事なので、根気よく自分の事業の戦略について考え、そして実践し続けていきましょう。

事業の成長とは、一夜にして成し遂げられるものではなく今日、下記の3つの仕事について、真剣に向き合い続けた結果としてもたらされるものなのです。

  1. 今日の事業の成果をあげる。
  2. 潜在的な機会を発見する。
  3. 明日のために新しい事業を開拓する。